前回の記事では、ニデックの不適切会計問題が表面化した後、2025年9月に最初の買いを入れ、10月24日の急落局面で短期利益を取ったところまで振り返りました。
第1部の確定利益は、403,579円。
数字だけを見れば、かなりうまくいった取引でした。ただ、ニデックの問題はそこで終わりませんでした。むしろ、自分にとって本当に危なかったのは、この後の取引です。
2025年10月28日、ニデックは東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されました。理由は、2025年3月期の有価証券報告書について監査法人が意見不表明等を記載し、内部管理体制等について改善の必要性が高いと判断されたためです。
このニュースを受けて、株価はさらに大きく下落しました。普通なら、ここで買うのはかなり怖い場面です。
しかし、自分はここで再びニデックを買いました。しかも、そこからさらに買い下がっていきます。
今回は、ニデック第2部として、特別注意銘柄指定後の買い下がりと、2026年3月の最終利確までを振り返ります。
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| ※特別注意銘柄指定後の買い下がりと最終利確をまとめた画像 |
特別注意銘柄指定で、株価はさらに急落
2025年10月28日、ニデックは東京証券取引所から特別注意銘柄に指定されました。
このニュースで株価は大きく下落しましたが、正直に言えば、特別注意銘柄に指定されたこと自体は、自分にとってまったくの想定外ではありませんでした。
すでにニデックは、2025年3月期の有価証券報告書について、監査法人から意見不表明とされていました。これは、監査法人が決算内容について適正かどうかの意見を表明できないということで、投資家が決算数字を前提に判断しにくい状態です。
つまり、単なる決算遅延や一部の会計処理の問題というより、内部管理体制そのものに疑問が向けられている状況でした。そのため、東証がニデックを特別注意銘柄に指定する流れ自体は、ある程度あり得ると思っていました。
一方で、市場の反応は厳しいものでした。ニュースでは、「最悪の場合、上場廃止」というフレーズも目立っていました。特別注意銘柄に指定された場合、一定期間後に内部管理体制などの審査が行われ、改善が不十分と判断されれば、上場廃止に進む可能性があります。
ただ、自分としては、ニデックが本当にそこまで追い込まれる可能性は低いのではないかと考えていました。
その時に頭にあったのが、過去のライブドアとオリンパスの違いです。
ライブドアは、粉飾決算問題を受けて最終的に上場廃止となりました。一方で、オリンパスも巨額の損失隠しという非常に重大な不祥事を起こしましたが、上場廃止にはならず、特設注意市場銘柄の指定や上場契約違約金にとどまりました。
不祥事の規模だけを見れば、どちらも非常に重い問題です。しかし、処分の結果は大きく違いました。
この差について、以前に掲示板で誰かが「ムカつくか、ムカつかないかの差だ」と書いていたのを見た記憶があります。
もちろん、これは正式な基準ではありません。ただ、個人投資家目線で見ると、その雑な言い方の中にも少し本質があるように感じました。
つまり、虚偽記載の重大性や悪質性だけでなく、その企業が市場や社会の中でどう見られているか、財界との関係、事業の公共性、地元への影響、雇用や取引先への波及なども、最終的な処分の重さにまったく関係しないとは言い切れないのではないか、という見方です。
ライブドアは、当時の市場や既存秩序に対してかなり挑発的な存在でした。一方で、オリンパスは長い歴史を持つ製造業であり、医療機器など社会的にも重要な事業を持っていました。
ニデックもまた、世界的なモーターメーカーであり、京都を代表する大企業です。
不適切会計、監査意見不表明、特別注意銘柄指定という材料を軽く見ていたわけではありません。それでも自分は、過去の事例やニデックの事業基盤、社会的な位置づけを考えると、上場廃止まで一気に進む可能性は高くないのではないかと見ていました。
少なくとも、市場が恐怖で投げ売っているほどには、最悪シナリオの確率は高くないのではないか。
そう判断して、10月28日の急落で買い向かいました。
この日、自分は2,070.5円で2,000株を買っています。報道では、前日比19%安、一時ストップ安とも言われた場面です。
普通に考えれば、かなり怖いところです。しかし、自分の中では、上場廃止リスクは意識しつつも、それが現実化する可能性は低いと見ていました。そして、ニデックの事業基盤や会社規模を考えると、株価は売られすぎではないかと判断しました。
結果的には、この判断は利益につながりました。ただし、これは決して安全な取引ではありません。
監査意見が出ていない会社を、特別注意銘柄指定後に買うというのは、かなりリスクの高い取引です。うまくいったからよかったものの、追加の悪材料が出ていれば、さらに下に持っていかれていた可能性もあります。
それでもこの時の自分は、ライブドアとオリンパスの処分差、そしてニデックという会社の位置づけを考えたうえで、上場廃止まではないと読んで買い向かいました。
10月末に4,000株まで買い下がる
10月28日に2,000株を2,070.5円で買ったあと、自分はさらに買い下がりました。
10月29日に1,000株を2,020.5円で買い、10月31日にはさらに1,000株を1,820円で買っています。これで合計4,000株です。
| 日付 | 取引 | 株数 | 単価 | 概算金額 |
|---|---|---|---|---|
| 2025/10/28 | 信用買新規 | 2,000株 | 2,070.5円 | 4,141,000円 |
| 2025/10/29 | 信用買新規 | 1,000株 | 2,020.5円 | 2,020,500円 |
| 2025/10/31 | 信用買新規 | 1,000株 | 1,820円 | 1,820,000円 |
| 合計 | 7,981,500円 | |||
合計投資額は、7,981,500円。平均単価は、約1,995.4円です。
ニデックほどの大型株とはいえ、不適切会計問題と特別注意銘柄指定の直後に、約800万円分を買っているわけです。これは冷静に見れば、かなり攻めた取引です。
というより、完全に火中の栗を拾いに行った取引でした。
この時点では、問題の全体像はまだ見えていません。市場も警戒しており、株価が安く見えても、その安さには当然理由があります。
特に不適切会計のような材料は、業績悪化とは違う怖さがあります。業績が悪いだけなら、利益水準や今後の見通しを見て判断できます。しかし、会計や内部管理体制の問題になると、投資家が前提にしている数字そのものへの信頼が揺らぎます。
それでも自分は、ニデックの事業基盤と株価の下落幅を見て、リスクを取る価値があると判断しました。
ただし、これは安全圏で拾った取引ではありません。結果的に成功したからよかったものの、当時の状況だけを見れば、かなり危険な買い下がりだったと思います。
11月12日に2,000株を一部利確
その後、株価は少しずつ戻りました。そして2025年11月12日、自分は2,000株を2,277円で売却しました。
この取引の利益は、409,774円です。
10月末に4,000株まで買い下がった後だったので、この一部利確はかなり大きかったです。利益額そのものも大きいですが、それ以上に心理的な負担が軽くなりました。
不適切会計問題を抱えた銘柄を4,000株持ち続けるのは、やはり楽ではありません。含み益になっていても、追加の悪材料が出れば一気に崩れる可能性があります。その意味で、2,000株を売って利益を確定できたことは、大きな節目でした。
売却価格の2,277円は、10月24日の急落時に買った価格と同じ水準でもあります。
10月24日に2,277円で買って、同日中に売却して利益を出した。そして10月28日以降にさらに下がったところを買い直し、11月12日に再び2,277円で一部利確した。
こうして見ると、ニデックの株価が大きく揺れる中で、同じような価格帯を何度も行き来していたことが分かります。
ただ、同じ2,277円でも、10月24日と11月12日では意味が違います。10月24日は急落を拾った短期勝負でしたが、11月12日は、特別注意銘柄指定後に買い下がったポジションの一部を逃がした取引です。
後者の方が、精神的にはかなり重い取引でした。
11月26日に再び買う
一部利確して楽になったにもかかわらず、自分はそこで終わりませんでした。
2025年11月26日、再びニデックを2,000株買っています。買値は1,958円です。
この時点でも、問題が完全に解決したわけではありません。不透明感は残っていました。それでも、自分は再び買いました。理由は、やはり売られすぎ感があると見ていたからです。
ただ、ここも今から振り返ると、かなり強気な判断です。11月12日に一部利確して、いったんリスクを落とした。本来なら、そのまま様子見してもよかった場面です。
しかし、株価が再び2,000円を割り込んだことで、もう一度入っていきました。
このあたりは、自分の取引の癖が出ています。一度うまくいった銘柄に対して、再びチャンスを見つけると入りたくなる。それが良い方向に出ることもありますが、逆に深追いになることもあります。
ニデックでは結果的にうまくいきましたが、同じことを別の銘柄でやれば、失敗していた可能性もあります。
その後、12月9日に1,000株を2,093円で売却しました。この取引の利益は、68,553円です。
金額としては、今回のニデック取引全体の中では大きくありません。ただ、再度買ったポジションの一部を利益で逃がせたことで、さらに余裕は出ました。
この時点で、10月末から続いていた買い下がりのリスクは、かなり軽くなっていました。
報告書公表後、株価が崩れなかったところで手じまい
最終的に大きな利益になったのは、2026年3月4日の売却です。
その前日、2026年3月3日にニデックは第三者委員会の調査報告書を公表しました。
この報告書の内容は、かなり重いものでした。不適切会計の影響額だけでなく、経営体制や社内風土の問題にも踏み込んだ内容で、報道でも創業者の強い影響力や、過度な業績目標へのプレッシャーが取り上げられていました。
自分としても、報告書を見て「これはあまり長く持ち続ける銘柄ではないな」と感じました。
当初は、上場廃止まで行く可能性は低いと見て買い向かいました。しかし、報告書の内容を見ると、問題は単なる会計処理のミスではなく、会社の内部管理や企業風土にまで及んでいるように見えました。
こうなると、これで全部出尽くしとは限りません。後から別の問題が出てくる可能性もあります。
それでも、報告書が出た翌日の株価は大きく崩れませんでした。2026年3月4日、ニデック株は安く始まったものの、その後は切り返しました。市場では、調査報告書の公表で悪材料が一旦出尽くしたという見方もあったようです。
自分も、この値動きを見て、ここで十分だと思いました。
この日、残っていた3,000株をすべて売却しました。
売却単価は、2,375円から2,416円。平均すると、約2,389円です。
この最終決済の利益は、1,407,355円でした。
結果だけ見れば大きな利益ですが、ここで売った理由は、単に利益が出たからではありません。
報告書の内容を見て、これ以上この銘柄に長く付き合う必要はないと判断したからです。
上場廃止リスクは低いと読んで買い向かったものの、企業風土や内部管理の問題がここまで見えてくると、次に何が出てくるか分かりません。
株価が報告書公表後も崩れなかったことで、むしろ手じまいしやすくなった。これが、3月4日に最終利確した大きな理由でした。
第2部の確定利益
- 2025年11月12日:+409,774円
- 2025年12月9日:+68,553円
- 2026年3月4日:+1,407,355円
第2部だけの合計利益は、+1,885,682円。
第1部の利益403,579円と合わせると、2025年に始めたニデック取引全体の利益は、+2,289,261円になりました。
これは、自分の取引履歴の中でもかなり大きな成功例です。
ただし、成功談としてだけ書くのは違うと思っています。
特別注意銘柄に指定された銘柄を買い下がり、合計で大きなポジションを持つ。結果的には利益になりましたが、悪材料がさらに広がっていれば、まったく違う結果になっていた可能性もあります。
この取引から感じたこと
今回のニデック取引で利益を出せた理由は、単純に「不適切会計で下がった株を買ったから」ではありません。
そこを勘違いしてはいけないと思っています。
不適切会計や内部管理体制の問題を抱えた銘柄は、普通に危ないです。問題の内容によっては、決算の修正だけでは済まないこともあります。株価が安く見えても、その安さには理由があります。
今回、自分が買ったのは、問題の重さをある程度見たうえで、ニデックの事業基盤、会社規模、株価の下落幅を考え、リスクを取れると判断したからです。
それでも、正直に言えば、10月24日の急落買いがうまくいったことで、もう一段深く踏み込んでしまった部分はあります。
一度うまくいくと、次も同じようにいけるのではないかと思ってしまう。相場では、この感覚がかなり危ないです。
今回のニデックでは、結果的にそれが利益につながりました。しかし、同じような判断を毎回していれば、いつか大きく失敗する可能性もあります。
特に、会社の信用に関わる問題では、どこまで悪材料が出るか分かりません。見えている材料だけで判断すると、後から追加の問題が出て、さらに下がることもあります。
だからこそ、この取引は「うまくいった成功例」であると同時に、「かなり危ない取引だった」という記録として残しておきたいと思います。
エピローグ:品質不正の疑いが出ても、今回は様子見
その後、ニデックにはさらに別の問題も出てきました。
2026年5月、ニデックで品質検査に関する不正行為の疑いが確認されたと報じられました。一部製品について、顧客の承認を得ずに材料、工程、設計を変更していた疑いがあるとされ、外部専門家による調査委員会の設置も検討されていると報じられています。
報道では、家電向けモーターや車載部品などで、顧客の承認を得ない設計変更、検査データの改ざん、生産地の不適切表示などの疑いがあり、品質関連の不正は1,000件以上に及ぶともされています。
これまでの自分の取引パターンなら、ここでまた急落を見て、もう一度ニデックに入っていたかもしれません。
不適切会計の時も、特別注意銘柄指定の時も、市場が恐怖で売っているところを拾いに行きました。そして結果的には、それが大きな利益になりました。
ただ、今回の品質不正の疑いについては、同じようには見ていません。
会計不正の場合、もちろん問題は重いものの、最終的には利益への影響額、過年度修正、監査法人の判断、上場維持の可能性など、ある程度は数字や制度の中で見ていくことができます。
しかし、品質問題はそれとは違います。
どの製品に関わるのか、どの顧客に影響するのか、安全性や性能に本当に問題がないのか、取引先からの信頼低下や補償、契約への影響がどこまで広がるのか。このあたりが見えにくい。
特にニデックのように、モーターや車載部品など幅広い製品を扱う会社の場合、品質に関する問題は、単なる一時的な株価材料では済まない可能性があります。
3月に第三者委員会の報告書が出た時点で、自分は「これは長く持ち続ける銘柄ではないな」と感じて、残りの株をすべて手じまいしました。
その後に品質不正の疑いまで出てきたことで、あの時に売っておいてよかった、という思いは強くなりました。
もちろん、今後の調査で問題の範囲が限定的だと分かれば、株価が見直される場面もあるかもしれません。ただ、少なくとも現時点では、会計不正の時のように「会社が傾くほどではない」と割り切って買い向かえる材料ではありません。
不適切会計はリスクを承知で買いました。しかし、品質不正は、どこまで問題が広がるのかがまだ見えません。
今までの自分なら、ここでまた入っていたかもしれません。でも今回は、様子見です。
今回のニデック取引は、自分にとって大きな利益になりました。
特別注意銘柄指定後の急落や、その後の株価の戻りに合わせて、機動的にポジションを取れたことは良かったと思います。
ただ、その一方で、これは決して長期で持ち続けるような取引ではありませんでした。
不適切会計の問題があり、監査法人の意見不表明があり、さらに第三者委員会の報告書では企業風土の問題まで見えてきました。その後に品質不正の疑いまで出てきたことを考えると、3月に手じまいした判断は間違っていなかったと思っています。
こういう銘柄は、急落局面でうまく拾えれば大きな利益になることがあります。しかし、手じまいのタイミングを逃すと、次の悪材料や急落に巻き込まれる可能性もあります。
今回も、もし利益が出ているからといって長く持ち続けていれば、その後の品質不正の疑いによる下落に巻き込まれていたかもしれません。
不適切会計で下がった株を買い向かうことと、品質問題がどこまで広がるか分からない銘柄を再び買うことは、同じようでいてまったく違います。
ニデックは、急落時に機動的に入って、戻ったところで手じまいするにはうまくいった銘柄でした。
ただ、問題を抱えたまま長期で持ち続ける銘柄ではなかった。今回の取引は、そのことを強く感じた記録として残しておきたいと思います。
投資に関するご注意
本記事は、筆者自身の投資経験や売買記録をもとにした個人的な振り返りであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 株式投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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