2026年6月21日日曜日

投資歴30年の資産形成史⑤|現物資産を土台に広がった信用取引、その裏にあったリスク

この記事のポイント
・メガバンク株を中心に現物資産が大きくなり、信用取引を使う余地が広がった
・2024年・2025年は信用取引の利益を現引きに回す流れが定着した
・現引きによって現物資産は増えたが、信用取引のリスクも大きくなった
・レーザーテック急落時に、現引きの積み重ねの意味を強く感じた

はじめに

資産が増えても、安全になるとは限りません。

第4部では、メガバンク株が日本株資産の柱になったことを書きました。

メガバンク株を中心に現物資産が大きく育ったことで、私の運用スタイルも少しずつ変わっていきます。

それまでは、配当目的の現物保有が中心でした。

しかし、現物資産が大きくなると、その現物株を担保にして信用取引を使う余地も広がります。

2024年・2025年には、決算後に急落した銘柄や、相場全体が大きく下げた局面で、信用取引を使って短期売買を行うことが増えていきました。

この流れの中で、信用取引で得た利益や配当収入を使い、信用建玉を現引きして現物株を増やす運用も定着していきます。

当時は、メガバンク株を中心に資産が大きく育ち、「もう暴落が来ても以前ほど慌てることはないだろう」と思うようになっていました。

しかし、その考えは後に完全に覆されます。

レーザーテックを大量保有していたトランプ関税ショックでは、信用維持率が一気に悪化し、あと一段の下落で追証も意識するような状況まで追い込まれました。

では、なぜ退場せずに済んだのか。

振り返ると、その答えの一つは、数年前から続けていた「現引き」にあったように思います。

今回は、メガバンク株を中心に大きくなった現物資産を土台に、信用取引と現引きを組み合わせる現在の運用スタイルへどう変わっていったのかを振り返ります。

現物資産が大きくなり、信用取引を使う余地が広がった

メガバンク株を中心とした現物資産が大きくなるにつれ、自分の運用は少しずつ変わっていきました。

現物株は信用取引の担保になります。

評価額が大きくなるほど、信用取引で使える余力も増えます。

その結果、決算後に大きく下げた銘柄や、相場全体が急落したタイミングでも、以前より機動的にポジションを取れるようになりました。

以前なら、現金余力が足りずに見送っていたような局面でも、信用取引を使えばすぐに買い向かえます。

このメリットはかなり大きく感じていました。

注意点
担保余力が増えたということは、安全になったという意味ではありません。
言い換えれば、より大きなリスクを取れるようになったということでもあります。
この点を、当時の自分は少し軽く見ていたと思います。

2024年・2025年は信用取引が運用の一部になった

売買履歴を振り返ると、2024年・2025年は信用取引が運用の一部になっていました。

信用買新規 信用売決済 信用現引 信用売決済損益合計 現引き金額合計
2024年 365件 413件 55件 約1,926万円 約1,803万円
2025年 325件 468件 34件 約2,245万円 約1,642万円

※売買履歴データをもとに集計。損益は税引前ベースの概算です。

数字だけを見ると、かなり順調に見えます。

ただ、ここで重要なのは利益額そのものではありません。

利益を現引きに回し、現物資産へ置き換えていく流れが定着していたことです。

これだけの利益が出ていたということは、それだけ大きなポジションを取っていたということでもあります。

利益の大きさと、抱えていたリスクの大きさは表裏一体でした。

現引きが運用スタイルの中心になっていった

この頃から、自分の運用で一番特徴的になったのが「現引き」です。

信用取引で利益を確定する。

メガバンク株などからの配当収入も加わる。

その資金を使って信用建玉を現引きし、現物株として残していく。

利益を現金として使うのではなく、現物株へ置き換えていくことを優先していました。

運用の流れ
信用取引で利益確定

配当収入も加わる

現引きで現物株へ

現物資産が増える

担保余力が増える

次の急落局面で投資余力になる

短期売買だけを見ると、トレード中心の運用に見えるかもしれません。

しかし実際には、その利益を現物資産へ変えていくことが、自分の中では一番重要な目的でした。

この流れは、次回の第6部でさらに詳しく振り返る予定です。

口座内で資産を積み上げる運用へ

現引きを続けた結果、現物資産はさらに大きくなっていきました。

2025年末時点では、三井住友FGを39,900株、三菱UFJを35,000株保有していました。

評価額は三井住友FGが約2億円、三菱UFJが約8,700万円。

メガバンク2銘柄だけでも、約2億9,000万円規模になっていました。

口座全体でも、国内株式は約3億8,000万円。

お預り資産合計では約3億8,700万円規模となっており、自分でも「かなり余裕ができた」と感じるようになっていました。

当時の自分は、この規模まで資産が大きくなれば、大きな暴落が来ても十分耐えられると思っていました。

しかし、その安心感は後になって錯覚だったと気付くことになります。

配当投資、信用取引、現引き。

この3つが循環しながら、口座内で資産を積み上げていく運用へ変わっていったのです。

ただし、この時点での安心感は、半分は正しく、半分は錯覚だったと思います。

現物資産が大きくなったことは、たしかに運用の土台になりました。

一方で、その土台があるからこそ、信用取引でより大きなポジションを取れるようにもなっていました。

現引きの積み重ねが、後になって意味を持った

現引きの効果を本当に実感したのは、ずっと後のことでした。

レーザーテックの急落局面です。

レーザーテックについては、過去記事でも何度か取り上げています。

信用取引で買い、利益が出た分は利確し、一部は現引きして現物株として残していく。

そのような取引を繰り返していました。

地味な作業ですが、その積み重ねによって現物株が増え、担保余力も増えていました。

そしてトランプ関税ショックでは、レーザーテックの急落によって信用維持率が急低下します。

あと少し下落すれば追証という状況でした。

一日に資産が数百万円単位で動くような局面が続き、精神的にもかなり厳しい状態でした。

それでも退場せずに済んだ背景には、長年積み上げてきた現物資産と、現引きの積み重ねがあったと思っています。

もし、それまでの利益を現引きに回さず、信用建玉ばかりを増やしていたら、かなり危なかったはずです。

あの経験で、利益を出すことよりも、生き残ることの方が重要だと強く感じました。

資産が増えたことで、安全になったわけではなかった

数億円規模の現物資産を保有していると、不思議と安心感が生まれます。

多少の下落なら問題ない。

大きな現物株があるから大丈夫。

そう考えてしまいがちです。

しかし、信用取引を使っている場合は話が変わります。

暴落時には、現物株の評価額低下と信用建玉の損失が同時に発生します。

現物株が下がれば担保価値が下がる。

信用建玉も下がれば含み損が膨らむ。

その結果、信用維持率は一気に悪化します。

現物資産が大きいほど安心できる一方で、その現物資産を担保に大きなポジションを取ってしまえば、リスクも同じように大きくなります。

反省点
資産が増えたことで安全になったのではなく、大きなリスクを取れるようになっただけだった。
この感覚は、現在の運用を考えるうえでもかなり重要だと思っています。

まとめ

第4部までで、メガバンク株を中心とした現物資産は大きく成長しました。

そして第5部では、その現物資産を土台に、信用取引と現引きを組み合わせる運用へ変わっていった流れを振り返りました。

信用取引で利益を確定し、配当収入も合わせて現引きに回す。

その結果、現物株が増え、担保余力も増えていく。

一見すると地味ですが、この積み重ねが、後の暴落局面で自分を支えてくれました。

ただし、現物資産が増えたからといって、安全になったわけではありません。

むしろ、資産が増えたことで、より大きなリスクを取れるようになっていた面もありました。

30年近く投資を続けてきて思うのは、一度の大勝より、暴落で退場しないことの方がはるかに重要だということです。

現引きは目立つ投資手法ではありません。

SNSで話題になることも少なく、派手さもありません。

ですが、その地味な積み重ねが、後の暴落局面で自分を支えてくれました。

今振り返ると、資産形成の土台を作ったのは、信用取引で得た利益ではなく、その利益を現物資産へ変え続けた判断だったのだと思います。

次回は、配当収入と信用取引の利益がどのように現物株へ姿を変え、口座内で資産が循環していったのか。

その流れを、具体的な数字とともに振り返ってみたいと思います。

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投資に関するご注意

本記事は、筆者自身の投資経験や売買記録をもとにした個人的な振り返りであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 株式投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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