・リーマンショックで一度は信用取引から距離を置いた
・SBI時代は一般信用の金利負担が重く、長期保有しにくかった
・野村證券の信用金利0.5%が、信用取引の使い方を大きく変えた
・低金利で回復待ちや現引きはしやすくなったが、ナンピンしやすくなる危うさもあった
・資産が増えるほど信用余力も増え、大きなポジションを取れてしまうリスクも感じた
第6部では、配当や信用取引の利益を現物株に変え、資産形成につなげていった流れを書きました。
今回は、その前提になった信用取引の使い方について振り返ります。
自分にとって大きな転機になったのは、野村證券の信用取引金利でした。
野村證券は2020年2月、オンライン専用支店の国内株式信用取引について、制度信用・一般信用の買方金利を従来の3.0%から0.5%へ引き下げると発表しています。
参考:野村證券「信用取引 買方金利0.5%へ引き下げのお知らせ」
当時、この0.5%という金利は、自分にとってかなり大きなインパクトがありました。
SBI証券でも信用取引は使っていましたが、一般信用の金利は3%近い水準だったと記憶しています。信用買いを長く持つには、金利負担がかなり重く感じました。
その点、野村の0.5%はかなり破格でした。
信用買いのポジションを長期で持っても、以前ほど金利負担を気にしなくてよくなりました。その結果、下落時に買い、相場が回復するまで持ち続けるという戦略が取りやすくなりました。
ただし、これは単純な成功談ではありません。
金利が低くなったことで、ナンピンもしやすくなりました。最終的に株価が回復し、プラスで終われることは多かったです。
しかし、大幅下落では信用維持率が一気に低下し、ポジションを維持できなくなる寸前まで追い込まれることもありました。
今回は、リーマンショックで一度痛い目を見た信用取引を、なぜ再び本格的に使うようになったのか。そして、野村の低金利が自分の投資スタイルをどう変えたのかを振り返ります。
リーマンショックで信用取引から一度距離を置いた
自分は、昔から信用取引をまったく使っていなかったわけではありません。
ただ、リーマンショックの頃に信用取引で大きな損失を出し、一度は信用取引から距離を置きました。
信用取引は、うまく使えば資金効率を高めることができます。現物株を担保にして、追加でポジションを取ることができるからです。
しかし、相場が急落した時のダメージは大きくなります。
現物株だけであれば、株価が下がっても持ち続けるという選択肢があります。もちろん含み損は増えますが、すぐに売らなければならないわけではありません。
一方、信用取引では含み損が大きくなると信用維持率が悪化します。場合によっては追証や強制決済のリスクもあります。
リーマンショックの頃の自分は、この怖さをかなり強く感じました。
その後、2017年頃から少しずつ信用取引を再開しましたが、最初から大きなポジションを取っていたわけではありません。あくまで現物株を中心にしながら、補助的に信用取引を使う程度でした。
この時点では、信用取引を長期で使って資産形成に活かすというより、現物投資の補助として使っていた感覚が強かったと思います。
SBI時代は、一般信用の金利が重かった
信用取引を使ううえで、自分が重視していたのは保有期間でした。
制度信用には原則として6カ月の返済期限があります。一方、一般信用は無期限で持つことができます。
自分の場合、下落時に買って、相場が回復するまで待つことが多いです。そのため、6カ月の期限がある制度信用よりも、無期限で持てる一般信用の方が使いやすいと感じていました。
ただし、SBI証券で一般信用を使っていた頃は、金利負担が重く感じました。
自分の記憶では、一般信用の買方金利は3%近い水準でした。
・制度信用は、6カ月の返済期限が重い
・一般信用は無期限だが、SBI時代は金利が重い
・下落時に買って回復を待つ投資スタイルには、どちらも使いにくさがあった
信用買いを短期で返済するなら、金利負担はそこまで大きくありません。しかし、自分の場合は、下落時に買って相場回復を待つことが多く、数カ月以上持つこともあります。
そうなると、3%近い金利はかなり気になります。
SBI時代の一般信用には、期限の重しはありませんでした。しかし、金利の重しがありました。この金利負担が、信用買いを長期で持つうえで大きなネックになっていました。
野村の0.5%金利が転機になった
その状況を大きく変えたのが、野村證券の信用金利0.5%でした。
2020年2月、野村證券はオンライン専用支店の国内株式信用取引について、制度信用・一般信用の買方金利を0.5%へ引き下げました。
これは、自分にとってかなり大きなニュースでした。
一般信用を使えば、返済期限の問題は避けられます。さらに金利が0.5%であれば、長期で持つ時の負担感もかなり小さくなります。
制度信用は6カ月期限が重い。
SBI時代の一般信用は金利が重い。
野村の一般信用は、無期限で、しかも金利が0.5%。
この違いは大きかったです。
自分にとって、SBIから野村に移った主要因は、この信用金利の低さでした。ブランドや営業担当が理由だったわけではありません。一番大きかったのは、信用取引のコストです。
この金利差によって、信用取引の使い方はかなり変わりました。
信用買いを、短期で返済しなければならないものではなく、相場回復まで待てるポジションとして考えやすくなったのです。
野村口座の残高は大きく増えていった
野村口座の残高を見ると、2022年末時点ですでに合計約1億円規模になっていました。
その後、2023年末には約1.57億円、2025年末には約3.87億円まで増えています。
| 時点 | 野村口座の合計残高 | 国内株式等 | 信用取引評価 | コメント |
|---|---|---|---|---|
| 2022年末 | 約1.02億円 | 約1.02億円 | 約-1,068万円 | すでに無期限信用を使っていた時期 |
| 2023年末 | 約1.57億円 | 約1.55億円 | 約-838万円 | 野村口座が日本株運用の中心になってきた時期 |
| 2025年末 | 約3.87億円 | 約3.81億円 | 約+268万円 | 野村口座が主力口座になり、資産規模が大きく拡大した時期 |
※各年末時点の取引残高報告書をもとに、記事用に概算で整理しています。
2022年末の野村口座では、合計残高が約1.02億円、信用取引評価が約-1,068万円となっており、すでに無期限信用を使った運用になっていました。
もちろん、この増加をすべて野村の信用取引だけで説明することはできません。
メガバンク株の上昇、相場環境、配当、現引き、保有株の評価益など、複数の要因が重なっています。
ただ、自分の感覚としては、野村の低金利信用を使うようになってから、資産形成のスピードが上がったように感じています。
特に2022年末時点では、すでにINPEX、信越化学、住友金属鉱山、DOWA、東京エレクトロン、日本郵船などを無期限信用で保有していました。
この時点で、現在の投資スタイルに近い形がかなりできていたと思います。
現物株を持ち、その現物株を担保に無期限信用を使う。利益や配当が入れば、現引きや次の投資に回す。
この流れが、野村口座の中で大きくなっていきました。
資産が増えたことは良い面だけではありません。資産が増えると信用余力も増え、より大きなポジションを取れてしまいます。ここが、後の大きなリスクにもつながっていきました。
回復待ちと現引きがしやすくなった
野村に移って一番大きかったのは、信用買いを長く持ちやすくなったことです。
SBI時代は、一般信用で期限の問題は避けられても、金利負担が気になりました。しかし、野村の0.5%金利であれば、信用買いのポジションを長期で持っても、以前ほど負担には感じませんでした。
これにより、下落時に買ったポジションを、相場が回復するまで持ち続ける戦略が取りやすくなりました。
自分の投資スタイルでは、ここはかなり重要でした。
株価が下がった時に買う。すぐに上がらなくても、相場が戻るまで待つ。その間に配当や他の売買益が入れば、現引きする。
この流れが取りやすくなりました。
実際、最終的に株価が回復し、プラスで終われる取引も多くありました。
下落時に買い、含み損に耐え、相場が戻ったところで利益確定する。あるいは、残したい銘柄は現引きする。
このやり方は、自分の資産形成にかなり貢献したと思います。
ただし、それは相場が戻ったから成立した面もあります。
金利が安いことは、あくまで保有コストを下げてくれるだけです。株価下落のリスクそのものを消してくれるわけではありません。
低金利は、ナンピンをしやすくした
野村の低金利は、自分にとって大きなメリットでした。
しかし、それは同時に、ナンピンをしやすくする要因にもなりました。
金利負担が重ければ、信用買いを長く持つこと自体にブレーキがかかります。ポジションを増やす時も、金利コストをかなり意識します。
しかし、金利が0.5%だと、そのブレーキが弱くなります。
多少下がっても、もう少し持てる。もう少し買い下がっても大丈夫。相場が戻れば何とかなる。
そう考えやすくなります。
自分の場合、下落時に買い向かう傾向があります。そのため、低金利の信用取引は、ナンピンとの相性が良すぎました。
実際、最終的に株価が回復して、プラスで終われることは多くありました。結果だけ見れば、うまくいった取引も少なくありません。
しかし、うまくいった取引が続くと、だんだん感覚が鈍ります。
下がっても戻る。ナンピンして待てば何とかなる。金利も安いから、しばらく持っていればいい。
こう考えるようになると、かなり危険です。
最初は軽く買ったつもりでも、下落に合わせて買い下がるうちに、想定以上の金額になっていることがあります。
低金利の信用取引は、金利負担を軽くしてくれます。しかし、ナンピンの心理的なハードルも下げてしまいます。結果として、気づかないうちにポジションが大きくなる危うさがあります。
急落時には、低金利よりも維持率が問題になる
低金利の信用取引は、相場が通常の範囲で動いている時には使いやすいです。
含み損になっても、金利負担が小さければ待てます。相場が戻れば、利益確定できます。その利益を使って現引きすることもできます。
ただし、相場が大きく崩れた時は別です。
トランプショックのような急落局面では、信用維持率が一気に低下しました。この時は、低金利であることはほとんど助けになりませんでした。
問題になるのは、金利ではなく、含み損と担保価値の低下です。
信用建玉の株価が下がれば、含み損が増えます。担保にしている現物株も下がれば、保証金の価値も下がります。
その結果、信用維持率が急速に悪化します。
自分の場合も、ポジションを維持できなくなる寸前までいったことがあります。
金利が0.5%であっても、株価が大きく下がれば意味がありません。
低金利は金利負担を軽くしてくれますが、信用維持率の悪化を止めてくれるわけではありません。
野村の0.5%金利は大きな武器でした。ただし、金利が低いことと安全であることは別です。急落時には金利よりも信用維持率が問題になります。この点は、かなり大きな反省点です。
まとめ
野村の0.5%金利は、自分の信用取引の使い方を大きく変えました。
SBI時代は、一般信用を使えば期限の問題は避けられましたが、金利負担が重く感じていました。野村に移ってからは、その負担が大きく下がり、信用買いを長く持ちやすくなりました。
その結果、下落時に買い、相場回復を待ち、配当や売買益を使って現引きする流れが取りやすくなりました。
実際、野村口座の残高は2022年末の約1.02億円から、2025年末には約3.87億円まで増えています。
もちろん、これは野村の信用取引だけで増えたわけではありません。ただ、低金利で信用買いを長く持てる環境が、自分の資産形成を後押しした面は大きかったと思います。
一方で、低金利はリスクを消してくれるものではありません。
金利が低いからこそ、ナンピンしやすくなります。気がつけば、大きなポジションを抱えていることもあります。
急落時には、金利よりも信用維持率が問題になります。
野村の0.5%金利は、間違いなく大きな武器でした。
しかし、その武器は同時に、大きなリスクを取れてしまう危うさも持っていました。
この便利さと危うさの両方が、現在の自分の信用取引スタイルを作っていったと思います。
投資に関するご注意
本記事は、筆者自身の投資経験や売買記録をもとにした個人的な振り返りであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 株式投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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