2026年5月20日水曜日

【メガバンク決算①】利益額だけでは分からない|三菱UFJ・三井住友・みずほの稼ぎ方を比較する

3メガバンク決算を、自分の持ち株目線で見てみる

三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンクの決算が出そろいました。

自分の持ち株の中でも、銀行株はかなり大きな割合を占めています。
特にメガバンクは、長く保有してきた銘柄でもあり、今後の資産推移を考えるうえでも無視できない存在です。

そのため、今回の決算は単なるニュースとしてではなく、自分の保有株の中身を確認する意味でも、かなり興味を持って見ています。

3メガバンクは日本の銀行セクターの中心にある存在です。
この3行の決算を見ることは、個別銘柄の確認であると同時に、日本の銀行株全体の流れを見ることにもつながります。

ただ、今回の記事では大きなマクロの話よりも、あくまで決算内容そのものを見ていきます。

表面上の利益額だけを見ると、三菱UFJの強さが目立ちます。
ただし、銀行の決算は純利益だけを見ても中身までは分かりません。

国内の預貸金ビジネスで稼いでいるのか。
手数料収入が伸びているのか。
海外持分法利益がどれくらい乗っているのか。
経費はどれくらい増えているのか。
貸倒引当金などの与信関係費用はどれくらい出ているのか。
国債等債券損益でどれだけ調整しているのか。

今回は、3メガバンクの決算を利益額だけでなく、利益の構造から見ていきます。

なお、この記事はあくまで自分の保有株を理解するための個人的な記録です。特定の銘柄の購入や売却をすすめるものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。

表面上の利益では、三菱UFJが圧倒的

まず、純利益だけを比較すると、三菱UFJの大きさが目立ちます。

三菱UFJの純利益は約2兆4,272億円。
三井住友FGの約1兆5,829億円、みずほFGの約1兆2,486億円を大きく上回っています。

会社 純利益 特徴
三菱UFJ 約2兆4,272億円 3行で最大
三井住友FG 約1兆5,829億円 高水準、株主還元も強い
みずほFG 約1兆2,486億円 増益率が高く、回復感あり

この数字だけを見ると、三菱UFJがかなり強く見えます。
もちろん、実際に強い決算であることは間違いありません。

ただし、この利益差をそのまま国内銀行業の実力差と見るのは少し早いと思います。

なぜなら、三菱UFJの利益には、Morgan Stanleyを中心とした持分法利益が大きく含まれているからです。

持分法利益を除くと、三菱UFJと三井住友の差は縮まる

三菱UFJの利益を見るうえで重要なのが、Morgan Stanleyの存在です。

三菱UFJはMorgan Stanleyを持分法適用会社としており、その利益が三菱UFJの決算に取り込まれます。

この持分法損益を単純に除いてみると、三菱UFJと三井住友FGの利益差はかなり縮まります。

会社 純利益 持分法損益 除いた後の利益
三菱UFJ 約2兆4,272億円 約8,455億円 約1兆5,817億円
三井住友FG 約1兆5,829億円 約1,377億円 約1兆4,453億円
みずほFG 約1兆2,486億円 約522億円 約1兆1,964億円

もちろん、Morgan Stanleyの利益を取り込めること自体が三菱UFJの強みです。
これは決して割り引いて考えるものではありません。

ただ、国内銀行業だけで三菱UFJが他の2行を圧倒しているというよりは、国内銀行業に加えて海外持分法利益が大きく上乗せされている、と見た方が実態に近いと思います。

つまり、三菱UFJは国内銀行として強いだけでなく、Morgan Stanleyという海外金融の利益も取り込める特殊な構造を持っています。

このMorgan Stanleyとの関係は、リーマンショック直後の大型出資から始まっています。
この話は非常に面白いので、次回の記事で詳しく見ていきます。

国内銀行業の主役は、金利上昇による資金利益

次に、国内銀行業の中身を見ていきます。

国内銀行業の中心は、やはり資金利益です。

資金利益とは、貸出金利息や有価証券利息などから、預金利息などの調達コストを差し引いた利益です。

金利が上がると、銀行は貸出金利を引き上げやすくなります。
一方で、預金金利の上昇は比較的ゆっくりです。

この差が、銀行の利益になります。

マイナス金利時代は、銀行にとって本業で稼ぎにくい時期が続きました。
しかし、金利のある世界に戻ってきたことで、資金利益が再び大きな意味を持つようになっています。

銀行 国内資金利益 役務取引等利益 特徴
三菱UFJ 約1兆1,120億円 約4,667億円 規模が大きく、手数料も厚い
三井住友銀行 約1兆1,480億円 約2,985億円 国内資金利益が非常に強い
みずほ 約9,069億円 約3,762億円 資金利益はやや小さいが手数料も貢献

国内資金利益を見ると、三井住友銀行の強さが目立ちます。

表面上の純利益では三菱UFJが圧倒的に見えますが、国内銀行本業だけを見ると、三井住友FGもかなり強いことが分かります。

三菱UFJは、国内資金利益の大きさに加えて、役務取引等利益も厚いです。
銀行本体だけでなく、信託や証券、法人取引、資産運用関連など、収益源の広さを感じます。

みずほは資金利益では三菱UFJや三井住友にやや劣ります。
ただし、手数料・信託・証券系の収益も組み合わせて利益を作っており、過去の出遅れから回復してきている印象です。

収益が伸びても、コストの出方で利益の見え方は変わる

ここまで、純利益、持分法利益、資金利益を見てきました。

ただ、銀行の決算を見るときは、収益だけではなくコスト面も重要です。

銀行の利益は、粗利益から経費を引き、さらに与信関係費用や国債等債券損益などを反映して、最終利益になります。

いくら資金利益が伸びても、経費が大きく増えたり、貸倒引当金が大きく積まれたりすれば、最終利益は削られます。

銀行 粗利益 経費 経費率の目安 与信関係費用 見方
三菱UFJ 約5兆9,444億円 約3兆5,672億円 約60.0% 約3,558億円 規模拡大・買収・成長投資で経費も大きい
三井住友FG 約4兆8,447億円 約2兆6,515億円 約54.7% 約3,884億円 経費率は低めで効率がよい
みずほFG 約3兆5,156億円 約2兆917億円 約59.4% 約1,330億円 経費率は改善中、与信費用は比較的小さい

三菱UFJは、利益規模も大きいですが、経費の規模も大きいです。
海外での買収影響、成長投資、インフレ影響などがあり、営業費は増加しています。

一方で、三井住友FGは経費率の面でかなりきれいに見えます。
連結粗利益に対する営業経費の割合は、ざっくり55%弱です。

みずほは、経費率が59.4%まで改善しています。
経費自体は増えていますが、粗利益の伸びがそれを上回ったため、経費率は改善しています。

与信関係費用は、銀行の貸し倒れリスクコスト

コスト面で特に見ておきたいのが、与信関係費用です。

与信関係費用とは、貸倒引当金の繰入や貸出金償却など、融資先の貸し倒れに備えるための費用です。

銀行は貸出で利息を稼ぎます。
しかし、貸したお金が必ず返ってくるとは限りません。

景気が悪くなったり、大口取引先の業績が悪化したり、海外で信用不安が出たりすると、将来の損失に備えて貸倒引当金を積む必要があります。

つまり、与信関係費用は銀行にとっての「貸し倒れリスクコスト」です。

銀行 与信関係費用 見方
三菱UFJ 約3,558億円 貸出規模や海外展開の大きさを反映
三井住友FG 約3,884億円 3行で最大。将来リスクを見込んだ引当も含む
みずほFG 約1,330億円 3行の中では負担が比較的小さい

三井住友FGは3行の中で最も大きくなっています。
ただし、これは必ずしも「不良債権が急増して危ない」という意味ではありません。

中東情勢の悪化など、将来のリスクを見込んで先に引当を積んだ面があります。
いわゆるフォワードルッキング引当です。

三菱UFJも約3,558億円の与信関係費用を計上しています。
貸出規模が大きく、海外展開も大きいため、リスクコストの絶対額も大きくなりやすいです。

一方、みずほFGは約1,330億円で、3行の中では与信関係費用の負担が比較的小さいです。
そのため、今回の利益改善が最終利益に残りやすかった面があります。

国債損益の差は、ポートフォリオ調整の違い

今回の決算で、もう一つ見逃せないのが国債等債券損益です。

金利が上がると、すでに持っている低利回りの国債価格は下がります。
その国債を売却すると、損失が実現します。

つまり、金利上昇局面では、銀行が過去に買った低利回り債券をどう処理するかが重要になります。

銀行 国債等債券損益 見方
三菱UFJ 約▲3,018億円 大きく損を出してポートフォリオ調整
三井住友銀行 約▲366億円 債券損失が小さく、本業利益が素直に出た
みずほ銀行 約▲1,721億円 国債・外債・ヘッジ影響が残る

三菱UFJは、国債等債券損益で大きなマイナスを出しています。

これは、金利上昇局面に対応するため、債券ポートフォリオの入れ替えを進めた結果と見ることができます。

ただし、これは単なる失敗とは限りません。
低利回りの債券を処理して、より高い利回りの資産に入れ替えることができれば、将来の資金利益改善につながります。

一方で、三井住友銀行は債券損益のマイナスが小さく、国内本業の利益が素直に見えやすい決算でした。

みずほはその中間で、国債だけでなく外債やヘッジの影響も意識する必要があります。

3メガバンクの利益構造を整理する

三菱UFJ:国内銀行業にMorgan Stanleyが乗る総合力型

  • 純利益は3行で最大
  • Morgan Stanleyを中心とした持分法利益が大きい
  • 国内資金利益も強い
  • 役務取引等利益も厚い
  • 経費も与信関係費用も大きい
  • 国債等債券損益は大きめのマイナス
  • 国内銀行業、海外、証券、Morgan Stanleyを含めた総合力型

三菱UFJは、国内銀行というより、海外金融も取り込む総合金融グループという印象です。

純利益の大きさは圧倒的ですが、その中身を見るとMorgan Stanleyの貢献が非常に大きいです。

経費や与信関係費用、国債等債券損益のマイナスも大きく出ています。
それでも最終利益が大きいところに、三菱UFJの収益基盤の厚さがあります。

三井住友FG:国内本業の収益力が強い

  • 純利益は三菱UFJに次ぐ2番手
  • 持分法利益を除くと、三菱UFJとの差はかなり小さい
  • 国内資金利益が非常に強い
  • 経費率が低めで、稼いだ利益が残りやすい
  • 与信関係費用は3行で最も大きい
  • 国債等債券損益のマイナスが小さい

三井住友FGは、国内銀行本業の収益力がかなり強いです。

経費率も比較的低く、収益が利益として残りやすい構造です。
国債損益のマイナスも比較的小さく、金利上昇メリットが素直に業績に出ている印象です。

一方で、与信関係費用は3行の中で最も大きくなっています。
将来リスクを先に織り込んだ引当も含まれているため、単純に悪い数字とは言い切れません。

みずほFG:出遅れからの回復が進む

  • 純利益は3行で3番手だが、増益率は高い
  • 持分法利益への依存度は小さい
  • 国内資金利益は三菱UFJ・三井住友よりやや小さい
  • 役務利益や信託・証券系も組み合わせて稼ぐ構造
  • 経費率は改善中
  • 与信関係費用は3行の中では小さい
  • 国債・外債・ヘッジの影響が残る

みずほFGは、利益規模では3行の中で一番小さいですが、出遅れからの回復感があります。

国内資金利益では三菱UFJや三井住友にやや劣るものの、手数料、信託、証券、市場部門などを組み合わせて収益力を高めている印象です。

また、与信関係費用が比較的小さいため、収益改善が最終利益に残りやすかった面もあります。

まとめ:利益額だけでなく、利益の中身を見ることが大事

今回の3メガバンク決算では、表面上の利益額だけを見ると三菱UFJの強さが目立ちます。

ただし、その中にはMorgan Stanleyを中心とした持分法利益が大きく含まれています。

持分法利益を除くと、三菱UFJと三井住友FGの差はかなり縮まります。
国内銀行業だけを見ると、三井住友FGの資金利益の強さも非常に目立ちます。

さらに、コスト面を見ると、3行の違いはよりはっきりします。

三菱UFJは、利益も経費も与信関係費用も大きい総合金融グループ型です。
大きく稼ぎ、大きく使い、それでも大きな利益を残しています。

三井住友FGは、国内本業の資金利益が強く、経費率も低めです。
国債損益のマイナスも小さく、決算の見え方はかなりきれいです。
一方で、与信関係費用は大きく、将来リスクへの備えも見ておく必要があります。

みずほFGは、利益規模では3行の中で小さいものの、経費率の改善や与信関係費用の小ささもあり、出遅れからの回復が進んでいるように見えます。

三菱UFJは総合力。
三井住友は国内本業の強さ。
みずほは回復余地。

同じメガバンクでも、利益の作り方はかなり違います。

だからこそ、銀行株を見るときは、純利益の大小だけではなく、その利益がどこから来ているのかを見る必要があります。

今回の決算は、3メガバンクそれぞれの特徴がよく見える内容だったと思います。

次回予告

三菱UFJの利益を分解すると、Morgan Stanleyの存在感が非常に大きいことが分かります。

この関係は、リーマンショック直後の混乱の中で決まった大型出資から始まりました。

次回は、三菱UFJがなぜMorgan Stanleyに出資したのか、そしてその判断が現在の利益構造にどうつながっているのかを見ていきます。

投資に関するご注意

本記事は、筆者自身の投資経験や売買記録をもとにした個人的な振り返りであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。 株式投資には元本割れのリスクがあり、最終的な投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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